信州いいやま「かまくらの里」の物語

長野県飯山市にある 「信州いいやま かまくらの里」は、 北陸新幹線 飯山駅から車で15分ほど北へ行った山に囲まれた田園が広がる外様地区にあります。 1年のうち約4か月も雪に覆われる日本有数の豪雪地帯です。

どこまでも広がる緑の田園は、冬になり雪が降ると真っ白な雪原になります。毎年1月になると、スコップを持った男衆(おとこしょ)が集まってきて、除雪機で雪を飛ばしながら雪を踏み固め、大きなかまくらを作る姿を見ることができます。

日に日にかまくらの数は増えて20基以上にもなります。いちばん奥にあるかまくらに神様がまつられ、赤い鳥居が建てられると、「信州いいやま かまくらの里」のできあがり。

かまくらの中で、地元産の野菜やきのこ、北信州みゆきポークが入った味噌仕立ての「のろし鍋」を楽しめる「レストランかまくら村」が営業を開始。2月初旬の週末には「かまくら祭り」も開催されます。

かまくら、そして鍋という日本情緒たっぷりの特別な体験を求めて、国内のみならず、海外からもたくさんの人々が訪れます。

新たな冬の魅力づくりから生まれた 「かまくらの里」

飯山市の公式ガイドブックの表紙を飾り、いいやまの冬の風物詩ともなっている「かまくらの里」。かつてこの地区には「信濃平スキー場」 がありました。

屋根から下ろした雪で作ったかまくらで、子どもたちが遊ぶことは、飯山の冬の日常的な光景。スキー場や民宿の軒先にかまくらを作り、スキー客をもてなしていました。

2001年(平成13年) にスキー場が閉鎖。地元の観光協会は目の前にある雪を活用した「かまくら」を、冬の観光資源とすることにしました。

それまでスキー場で開催されていたかまくら祭りは、毎年1月中旬に地区で行われる道祖神祭りの会場で行うことになりました。それが現在の「かまくらの里」です。

かまくらを作り、維持管理する「かまくら応援隊」結成!

会場移転後も民宿経営者ら4、5人で、地道に続けていたかまくら作りでしたが、活動に賛同してくれる有志が集まりはじめ、地域の区長経験者や、第一線から退いた退職者、自営業者などで、かまくら作りをするメンバーが徐々に組織化されていきました。

2008年(平成20年)に「かまくら応援隊」が結成され、かまくら祭り実行委員会の構成員に加わり、かまくらの製造、維持管理、撤去までの、かまくらの里の運営のすべてを担うことになりました。

かまくらの趣きと、雪と遊ぶにぎわい「かまくら祭り」

2月初旬の週末に開催される「かまくら祭り」では、かまくらの趣きを大切にしながらも、子どもから大人までが雪で遊べるイベントがたくさん用意されています。

田んぼの雪原を走れる雪上車やスノーモービル体験、子どもたちが夢中になるそり滑り台、雪の中の宝探しゲームなど、雪そのものを思いきり体験することができます。

祭り初日夜のお祝い花火大会では、打ち上げられた花火の色が、白い雪原やかまくらを照らし、幻想的な雰囲気に包まれます。

かまくらで地元食材たっぷりの鍋が食べられる「レストランかまくら村」

2012年(平成24年)からは、日本版DMOの成功例としても知られる信州いいやま観光局と連携し、かまくらの中で地元食材たっぷりの鍋が食べる「レストランかまくら村」が旅行商品化されました。

かまくらという雪国体験と、地域の食の楽しみをかけ合わせたレストランかまくら村への来場者は年々増加し、予約開始日にほとんどの枠が埋まるほどの人気になりました。外国人旅行客にも口コミで広がり、来場者の3割を占めるまでになっています。

2016年(平成28年)には、レストランかまくら村が、観光庁の訪日外国人向けの「広域観光周遊ルート」のスポットに認定され、世界にアピールできるインバウンド観光のコンテンツになっています。